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どこか他人事に見つめていると、目の前の青い車の運転席から白髪混じりの40代くらいの男性が降りてきてポケットを探りながら倒れている僕の体を揺する。
僕の身体は男性のゆすりに合わせて動くだけではあったが、不思議とまだ息をしているように思えた。
探っていたポケットから携帯を取り出した男性は急いで電話をかけている。
隣で腰をぬかしていた女性はまだ動転しているのか、立ち上がるでも声を出すでもなくただただ目の前の光景を凝視している。
そんな光景を立ち尽くして見ている自分を傍から見たらどれだけ滑稽なのだろうか。
結局、電話から10分足らずで警察が来て2人に事情聴取していくが警察はおろか、ずっと目の前にいたはずの2人でさえ僕のことを気にする様子はなかった。
まるで、そこには誰もいないかのように。
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