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そこにいる時間はそれほど長くなかったと思うが横を通り過ぎる人、目の前を通る人、誰一人として自分のことを不審がったり気にする素振りはない。
そこで改めて自分は存在していないのかもしれないと思うようになる。
ともかく、今ここにいる自分が存在しないとなるとあの運ばれていった身体はどうなるのか、もうすでに死んでしまっているのかどうかを確かめたいと思うと、自然と近くの総合病院へ向かって歩くことにした。
道中はとにかく道の端を歩いた。どんなに勢い良く正面から走ってくる人がいてもぶつかることはないが、歩いてる後ろから体をすり抜けるように抜かされていくのが非常に気味が悪かった。
20分ほど歩いたところで地域でもかなり大きい総合病院に着く。
いくつになっても病院に入るのは緊張するが、今回は尚更だった。正面入口から入っていくと受付が見えるがカウンターの中の女性はこちらを見向きもせず何か手元を見つめている。
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