幽霊の日

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幽霊の日

※7/26の幽霊の日にちなんで 佐和商店の閉店後。 菫と榊はカウンター内にいた。菫が入口のドアの向こうを見ながら、口を開く。 「今日って、幽霊の日らしいですよ」 「ゆうれいのひ?」 隣にいる榊は、間の抜けた声で返す。 「そうです。私と榊さんには、あまり関係無いかなとも思うんですが」 「まあな。ほぼ毎日幽霊の日みたいなもんだし」 「改めて嫌ですね……」 「今更だろ」 榊もちらりとドアの向こうを見る。店の前をぞろぞろと、白装束の透けた老若男女が列を成して横切って行く。無表情な人々の波は、途切れそうにない。 「この幽霊行列、いつ終わるんでしょうか」 「すみちゃんはもう見るなよ。どれかと目でも合ったら面倒だから」 榊は溜息をつくと、後ろからそっと菫の目を片手で隠し、空いた手で抱き寄せる。 「早く帰りてぇけど、これも悪くないな」 「……複雑です」 榊の手に触れながら、菫は呟いた。
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