第二章 亜希の夢

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 広いベッドに、啓は亜希をそっと横たえた。  ほとんど沈まない、マットレス。 「やはり、体重を増やさないと」  苦笑し、パジャマを用意する。  啓のパジャマは、亜希には大きすぎる。 「小さいより、ましだろう」  そして、亜希のシャツのボタンに指をかけた。 「ぅん?」  なぜだろう。 「妙に、ぞくぞくするな。背徳感か?」  婚約者のいる身でありながら、少年の服をベッドで脱がせている。  そんな気分の彼自身に、啓は自嘲気味の笑いを漏らした。 「こんなことだから、避けられるんだ」  解っている。  この結婚に、愛など存在しないことは。 「所詮、家同士の結婚だ。私は私で、好きにさせてもらうさ」  そう。  このまま、この少年を抱くことだってできる。  啓は、亜希の頬にそっと手のひらを当てた。 「う……」  わずかに漏れる、声。  震える睫毛が、扇情的だ。  だがしかし。 「いや。やはり君は、もう少し体重を増やして健康的にならなきゃな」  そして啓は、亜希に自分のパジャマを着せた。 「やはり、ぶかぶかだ」  小さく笑って、啓は亜希の隣に横たわった。  そして、その柔らかい髪をひと撫ですると、瞼を閉じた。  隣から聞こえる安らかな寝息が、心地よかった。
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