第二十章 崩れた日常

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「亜希の体調変化?」 『顔色が優れないし、倦怠感がある、って言ってたよ』 「もう少し、詳しく聞かせて欲しい」 『胸部に、圧迫感を訴えてた』    仕事中にごめんね、と利実は謝ったが、その口ぶりはまるで悪びれたところがない。  逆に、啓を責めた。 『一度、血液検査や心電図を取ってあげてよ。全く、頼りにならないんだから!』 「す、すまない」 『じゃあ、頼んだよ!』  通話は途絶え、受話器を置きながら、啓はすぐに亜希の健康診断の予約を入れた。 「亜希。何事もなければ、いいが」  あまりにも幸せな日々が日常化しすぎて、啓はすっかり油断していた。
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