第二十二章 過酷な条件

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「賭けになる、かもしれない」  失敗すれば、逆に亜希の寿命を縮めかねない治療法だ。  それを、啓は案じていた。  しかし亜希は、落ち着いていた。 「僕、啓さんを信じています。大丈夫です」 「亜希」 「この手術、受けようと思います」 「よく言ってくれた」  でも、と亜希は少しうつむいた。 「そうなると、今年度に受験して大学へ進むのは、諦めないといけませんね」 「すまない。だが今は、長い目で人生を見て欲しい。健康を取り戻せば、いくらでも挽回はできるんだから」 「はい」  二人は、静かに抱き合った。  他に誰もいない病室で、そっと唇を合わせた。
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