第二十二章 過酷な条件

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 啓は自分に与えられた研究室にこもり、頭を抱えていた。  抱えながらも、心は一方向を向いていた。 「亜希を、救いたい」  そのためには、何だってやる。  そう、決めたじゃないか。  こうしている間にも、彼の体は弱ってゆく。  その未来の扉が、閉ざされて行ってゆく。  ぎゅっとこぶしを握り、啓は私用の携帯を手にした。  操作し、相手が通話を繋ぐのを、待った。  それは、利実だった。 「もしもし。利実くん、今いいかな?」 『啓さん? 何、改まって』 「よかったら、今夜会えないか。夕食を、一緒に」 『いいけど? 場所は、どこ?』  待ち合わせの場所と時刻を決め、啓は通話を終えた。  そしてうなだれ、大きな溜息をついた。 「……亜希のためだ」  悲しく、辛い道に、一歩踏み出そうとしていた。
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