第七章 夜を越えて

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 数秒経っても、利実は何も言わない。  そこで啓は、こちらから声を掛けた。 「もしもし?」 『……抱いた?』 「ご想像に、お任せする」 『じゃあやっぱりまだ、そこまでの関係じゃないんだ』  利実は、愉快そうに笑った。 『あなたに、そんな度胸は無いよね。それに、亜希くんは何だかパッとしないし』 「亜希を悪く言うのは、よしてくれ」 『何、それ。かばうの? あの子を』 「切るぞ。もう、寝る」  利実はまだ何か騒いでいたが、啓はそのまま通話を切った。
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