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浅い眠りから覚めると、隣に亜希の姿がない。
「どこへ行ったんだ、亜希」
慌ててベッドから降り、リビングへ出ると、キッチンから良い香りが漂ってきた。
「亜希?」
「あ、おはようございます。啓さん」
そこでようやく、啓はぱっちりと覚醒した。
夢と現実が、切り離された。
「もうすぐ、朝食の準備ができますから」
「うん。ありがとう」
シンクの前に立つ亜希を、啓は背後から抱きしめた。
「け、啓さん?」
「昨夜は、悦かったよ。体調はどうだ? 辛くは無いか?」
「……ありがとうございます。大丈夫です」
本当を言えば、少々体が重いし、後膣が疼く。
そこで気を紛らわすために、キッチンに立っていた亜希だった。
だが、そんな自分をいたわってくれる啓の優しさが、嬉しい。
幸せが、胸いっぱいに満ちていく。
コックをひねって水を止め、亜希は啓に向き直った。
「啓さんは昨夜、僕の体中に溜まった澱をきれいに清めてくれました」
「……キスしても、いいか?」
返事になっていない啓の言葉に微笑みながら、亜希は彼からのキスに応えた。
昨日までとは違う朝を、迎えた。
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