第九章 悪戯

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「ただいま帰りました」  時刻は、午後6時。  予備校を終えた亜希が、帰宅した。  啓は、まだ帰っていない。  こっそりと利実たちが後にしたマンションに、亜希は戻っていた。  まずは、シャワー。  さっぱりした後で、復習と宿題と、予習だ。  啓が用意してくれたプライベートルームで勉強していると、背後に人の気配がした。 「啓さん! おかえりなさい」 「ただいま、亜希」 「今日は、早かったんですね」 「たまには君と、夕食を食べたいのでね」 「僕、準備します」 「ありがとう。私は、バスを使うよ」  キッチンへ消えた亜希を見送り、啓は自室へ向かった。 「ん?」  ベッドルームのドアが、細く開いている。  ここはいつも、きちんと閉めているはずなのに。 「亜希が、閉め忘れたのかな」  啓は、寝室に足を踏み入れた。
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