第十一章 好き

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(ぅん……?)  啓は、おぼろげに下肢への充血を感じていた。  何かが、私のものを弄っている?  だが、悪くない気分だ。  急所を預けているのに、やけに心は落ち着いている。  柔らかく、温かな感触。  吸い、食み、舐める刺激。  そっと瞼を開くと、そこは変わらぬ暗闇だ。  それでも目が慣れてくると、自分の下肢にうずくまっている人影が動いて見える。  亜希だ。  彼は、懸命に啓へ口淫を施していた。 (亜希……)  啓は、彼の心をすぐに読んだ。  おそらく、利実に手ひどく裏切られた私を、慰めてくれているに違いない。  そう、思った。
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