第十一章 好き

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 亜希の愛撫は、熱を持っていた。  一生懸命に手を、指を。  唇を、舌を動かし。  啓を高みに昇らせようと、がんばっている。  寝たふりを続ける啓だったが、その体はどんどん疼いてくる。  性毛が逆立ち、局部がそそり勃ってくる。  これではもう、眠っている方がおかしいだろう。 「亜希。ありがとう」 「……啓さん!」  慌てて亜希は、口を離した。  啓は、仰向けに寝たまま、彼に声を掛けた。 「すっかり元気になってしまったよ」 「ごめんなさい。起こしちゃって」 「亜希は、どうだ? 君のここは、どうなってる?」 「ひゃっ!」  素早く起きた啓が亜希の内股に手をやると、そこは充分硬くなっている。  恥じらい、戸惑う亜希にすり寄り、啓はささやいた。 「こうなってしまった以上、スッキリさせないと眠れないな」 「……ご、ごめんなさい」  謝ることはない、と啓は亜希を優しく横たえながら言った。 「君とこうやっていると、嫌なことも消えてなくなる」 「啓さん……」  良かった、と亜希は安堵した。
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