第十三章 初デート

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 少し身を乗り出した亜希だったが、花火はここからでは見えない。 「見たいか? 花火」 「え? あの、いえ……」  これ以上欲張っては、啓に迷惑だ、と亜希は遠慮した。  そんな彼に、啓はハンドルを握ったまま言った。 「さすがに今からでは無理だが、明日になら出かけられるよ」 「本当ですか!?」  途端に弾む亜希の声に、啓は苦笑いした。 (嘘の付けない子だな) 「明日は、病院へ行かなくてもいいからね。また……」  そこで、啓の声は途切れた。 「どうかしたんですか?」  また?  また、何だろう?  啓は、うん、と軽くうなずき、続きを言った。 「また、デートしよう」 「啓さん……」  ああ、デート。 (啓さんも、デートだ、って思っててくれたんだ!) 「僕。僕、嬉しいです。とってもとっても、嬉しいです……」  心がいっぱいに満たされた、二人の初デートだった。
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