第十六章 光る涙

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 利実の厳しい声は、ただれた空気を引き裂いた。  男たちは、反射的に彼の方を振り向いた。  振り向いて、ぎょっとした。  銃口が、こちらを向いていたのだ。 「ゆっくり、亜希くんから離れて」  利実は手のひらサイズの銃を、構えている。  恐る恐る亜希から離れながらも、慎也は疑惑を口にした。 「利実。偽物だろ? それ。モデルガンか、何かだろ?」 「王子家を甘く見ないでね。護身用の銃も持たずに、僕が一人で歩いてるとでも?」  銃規制の厳しさは、世界でもトップクラスのこの国だ。  いくら名家の子息でも、そこまでは……。  そんな男たちの考えを、利実は砕いていった。 「地下の射撃訓練場で、しっかり練習もしてるんだから」  そこで利実は、にやりと笑った。 「一度、本物の人間を、的にしてみたいって思ってたんだよね」  この言葉には、慎也は震え上がった。  彼なら、やりかねないからだ。 「おい、行くぞ」  慎也の逃げ腰に、男たちは亜希から手を離した。
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