第十六章 光る涙

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「亜希は!?」  息せき切って現れた、啓。  髪を乱し、病院のユニフォームのままで駆け付けた、乱れた姿。  あれほど見たがっていた啓のうろたえた表情なのに、今の利実には痛々しかった。 「今、眠ったところ」 「利実くん、何があったんだ!?」 「ごめんなさい。本当に……、ホントに、ごめんなさい……!」  利実は、事の次第を正直に打ち明けた。  啓のクールな仮面をはがし、生々しいその素顔を見るために。  そんな幼稚な願望のためだけに、亜希を危険にさらしてしまったことを。 「利美くん、君って人は……!」 「ごめんなさい……」  利実の声は、どんどん小さく弱弱しくなっていく。  その時、啓の手首がそっと握られた。
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