第十七章 贈る言葉

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「あれ? 固定電話から、コールが」  啓のマンションで観葉植物に水をやっていた亜希は、急いで電話に走った。  受話器を取ろうとして、ふとためらう。 「詐欺電話、なんかじゃないよね……」  留守録を確認したが、オンになっていない。  仕方なく、亜希は恐る恐る受話器を上げた。 「もしもし……」 『亜希くん。もう、大丈夫? 元気になった?』  電話をかけて来たのは、利実だった。  彼はあの過ちを、何度も詫びた。  そして、亜希の身をいたわった。   「もう、いいです。僕も、おかげさまで元気になりましたから」 『良かった。啓さんは、優しくしてくれた?』 「はい」 「そう。そうだよね。あの、ね……」 「利実さん?」 『僕、彼との婚約、解消したから』  驚きの発言に、亜希は言葉を失った。
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