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遠い過去から人々は夜を嫌っていた。姿の見えないものに日々怯え、暮らすのがどれだけ辛く、恐ろしいことか皆知っていたのだ。
ある日、小さな町に大きな灯りがともされた。町長は喜んだ。夜は消えたと。そして、次の日、また次の日と小さな町には大きな灯りをともした。小さな町のお陰でその周りの町も夜に怯えなくて済むようになった。小さな町は周りの大きな町に頼まれて灯りをともし続けた。
大きな町は知らない。いつの間にか小さな町は消え、灯りの下には夜が落ちてきていたことを。その夜は誰もが知っている夜よりもずっと暗かったことを。
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