プロローグ

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「悪態をつくなよ。反省して悪事なんてもう二度とすんな。特に弱い奴を狙うなんて卑怯な奴がする事だ。わかったら、もう行けよ」 「しつけーな、若薙(わかやぎ)ぃ! その正義のヒーロー気取りがうぜーんだよ。くそ、頭にきた。今すぐぶじどめしてやるっ!」  そうそう、その人は若薙先輩という名前だった。  その不良っぽい人が怒りに任せで若薙先輩の胸ぐらを掴んだ。想定外の行動で若薙先輩は驚いて焦っている。  これは不味い……。 「暴力はマジでやめろっ。俺ぁは喧嘩が強くねぇから勘弁してくれぇぇ」 「ごちゃごちゃうるせぇっ!! 大人しく殴られやがれっ!」  僕は近寄ってタイミングをはかっていた。  華奢な僕を両親が心配して小さい頃からあらゆる武道を習わせられた。攻撃してくる自分より大きい相手でも多人数でなければ、何とか倒していた。今回も自分よりもタップがある不良一人相手だ。僕でも簡単に倒せるだろう。 (今だ……っ)  拳を振る直前の不良っぽい人に素早く技をかけて投げ飛ばした。その人は状況が分からずに放心状態になっていた。はっと正気を戻り立ち上がってくそぉぉ……と走って逃げていった。 「あ、ありがとうございましたぁ、若薙先輩!」 「俺は何もしてねぇから。礼ならこいつに言ってくれ」  僕に視線を向ける。カツアゲされてたらしい人が僕に何度も頭を下げて礼を言って「また改めてお礼をさせて頂きます」とこの場を去った。  二人だけになって若薙先輩は僕の方に向き顔を輝かせていた。
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