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「さっきはありがとなぁ。あんなでけぇ奴を相手にぶっ倒すなんてお前はつえぇのな! かっこよくて惚れそうだったぜ」
熱く褒める若薙先輩とは対照的に僕は「はぁ……」と軽く無気力気味に返す。
「……いいなぁ、お前。急で悪いが、生徒会に入ってみないか?」
「生徒会?」
「おう、今すぐ返事はしなくていいぞ。後でゆっくり考えてくれないか?」
そう言うが、生徒会は仕事や作業が多くて複雑で細か過ぎるイメージだ。常にやる気のない僕は想像しただけで頭が痛くなりそうだ。
「生徒会って面倒臭そうですね」
「まぁ、生徒会の仕事はしなくてもいい。こう……お菓子を食いながら、簡単な手伝いをしてくれただけで助かる」
若薙先輩は続けてそれと用心棒としてな? とウインクして明るく微笑んで話す。簡単に言うと、きっと今回のように危害を加える人から守るために生徒会に入って欲しいと言う話だ。そちらが本音かもしれない。
そしてほれっと未開封のお菓子を目の前に出された。有名店の箔押しのされてる高そうなお菓子、芋けんぴだ。
これってもしや……。
「金吉印の芋けんぴじゃないですか。数が限られて手に入らないと言う幻の!?」
「生徒会には良さそうなお菓子のお礼品や貰い物が沢山あるからな。生徒会に入ればお菓子が食べ放題だぞ」
それは聞き捨てならない。毎回美味しい芋けんぴが食べられるなんて夢のようだ。僕は考える事なく即座に答える。
「入ります! 必ず入ります。美味しい芋けんぴが食べれるなら生徒会に入らせて下さい」
「あはははぁぁっ……たく、お菓子で釣られるなんてよ。面白れぇ奴だな、お前。
俺は三年の若薙洸太郎だ。一応、生徒会長をしている。よろしく頼むぜ」
「僕は一年の……」
芋けんぴの誘惑に勝てずに生徒会に入る意欲を見せた僕は名前を名乗って若薙先輩と握手を交わした。これが生徒会に入ったきっかけだったのだ。
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