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微妙な空気もあってか若薙先輩は口元に手をやってコホンッと軽く咳払いした。まぁ、続けて……と自己紹介が再開された。
「こっちは副会長の三年、如月響輝。俺の同じクラスの友人だ」
パイプ椅子に座って書類を見ていたその男子生徒、如月先輩は立ち上がって挨拶しようと近寄ってきた。
「俺は如月響輝と言う名前だ。愛子くんだったかな、よろしく頼むな」
「一年の愛子三福です。よろしくお願いします」
見上げると軽く微笑んだ如月先輩はあまりにも顔が眩し過ぎる俗に言うイケメンだ。あまりに整っていてしばらく見入ってしまった。その様子に気づいた如月先輩が疑問符を浮かべる。
「ん? 俺の顔に何か付いてるのかな、愛子くん」
「あの、お顔の周りがキラキラと輝いてますね。まるで白馬に乗った王子様のように光って見えます」
「……これは褒められているのか。一応ありがとう」
僕の率直な褒め言葉に如月先輩は苦笑いして落ち着いた声で丁寧に礼を言う。
「ぷぷっ……白馬の王子様かよ。こんな真面目人間にどんなお姫様を迎えに行くのか見ものだなぁ」
「真面目で結構だ。人の事を小馬鹿にしないで若もたまには真面目に自力で勉強と宿題をすればいいだろう」
「そうだ、そうだ。たまには真面目に生徒会のお仕事もして下さいよ」
若薙先輩がいじるような言い方に透かさず如月先輩が言い返した。その後にハナちゃん先輩も追加で『たまには真面目に』を強調して意見を述べる。いかにも普段から真面目に仕事をしていないように話す。
二人の発言で若薙先輩は図星を突かれたようで言葉に詰まっている。
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