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十話
新規開店した赤羽支店のメンバーはみんなで6人。
支店長のクラタさんは福岡出身で29歳独身、彼女なし。
入社4年目の先輩サコタさんも福岡出身の26歳、独身彼女なし。とにかくマイペースな人で焦ることを知らない人。
入社3年目のウチダさんは佐賀県出身、結婚していて子供はいない。二浪しているから27歳。いつも何か考えているような雰囲気を出しているが、奥さん曰く何も考えていないそうだ。
そしてパートさん2名と孝介の6人だ。
開店日は9月15日の敬老の日と聞いていたのに、何故か前の週の土曜日11日に開店した。早くするのがいいのかな?と思いながら忙しくしていたけど、13日の夕方、店舗開発の酒巻課長(泥棒猫と怒られた課長)から電話がかかってきて「支店の中を散らかしておくように!」
と妙な指示がきた。意味がわからぬまま段ボールとか包装紙とか無造作に置いてあるようにして、いかにも開店前の準備中です!みたいな雰囲気を出した。
翌日、消防の検査が入った。どうやら開店は15日で申請してたけど、社長からもっと早く開店できないのかと圧力がかかったようで、と言うよりも、社長の予定が空いてなかったんだろうと今では思える。それで急遽11日に開店となったらしい。それにしても消防の検査が何事もなく済んだのにはビックリした。
開店からしばらくは忙しくしていた孝介だが、徐々に来店されるお客様も少なくなってきたので孝介も営業に専念することになった。初めての営業なので先輩のウチダさんが手ほどきをしてくれた。仏壇販売の営業先だから、お寺や石屋さんや葬儀屋さんなどが得意先になる。そして葬儀をあげてから間もないお客様情報なるものが存在し、住所からその家をゼンリンの地図で調べて訪問するのだ。情報は専門の会社からFAXで送られてくる。お客様や取引先開拓で訪問するクルマの中でウチダさんが「営業マンが大切にする3箇条を教えてやる」と言ってきたので、その言葉に孝介は期待した。
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