とある宇宙の片隅で

1/1
前へ
/10ページ
次へ

とある宇宙の片隅で

 地球の外、宇宙船の中で、知的生命体Aが敬礼の形をとった。 「船長、つい先日落とした鸚石(いんせき)ですが、まーた地球人の洗脳に失敗したようです。何がマズったんですかね? やっぱ鸚石(いんせき)なんつー、かたっくるしい名前がいけなかったんじゃないですか」  石に依存させて、石なしでは生きられないようにするつもりだったのに、そうならなかった。 「ナンダト! 地球に住まう鳥のように人語をしゃべり、人心に取り入るモノを生み出したつもりだったガ……まだ改良の必要がアッタということカ!」  知的生命体Bが、ウネウネと触手を(いか)らせる。 「船長ォ。ネームチェンジしちゃいましょーよ。あ、そーだ、『恋する一粒♡ラッキーストーン』なんてどうです」 「ゼロ! オマエのセンスはゼロだ! 今すぐ他の船員を招集シロ、作戦会議ダ!」  知的生命体Bは癇癪を起こして、そのあたりの物を蹴散らしながら、船室を出て行った。  あとに残された知的生命体Aは、肩を落として呟いた。 「ったく。相変わらずコキ使いやがって……自分も新しい就職先、探そっかな」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加