彩りを君に

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 僕は福本のことを早く伝えたいんだった。はやる気持ちが溢れ出す。関口さんは赤い顔のまま僕を見た。 「あの手紙の差出人が分かったんだよ!」  感情が走り出す。きっと関口さんも驚くはず。  そう思っていた僕の予想とは裏腹に、関口さんの感情はまったく左右されなかった。 「そう……」 「え、知りたくないの? 誰からの告白だったのか」  赤みを帯びた表情は、いつの間にか冷めきっていた。 「興味はないけど、一応聞いとく。誰?」 「隣のクラスの福本だよ! 昨日福本に呼び止められてさ、返事聞かせてほしいって言ってたよ」 「福本くんが……そう……」  彼女は落ち着いた声で僕と話している。反対に僕は一人でテンション上がっていて、なんだか拍子抜けというか、空回りというか……。 「去年同じクラスだったの、福本くん」  やっと自分から話してくれて、僕は少しホッとした。 「あ、そうなんだ! じゃあ福本はその頃からずっと関口さんのこと見てくれてたんだな。良かったじゃん! 気にしてくれる人いるじゃん!」 「うん……」  力無い返事だ。急に言われたから緊張しているのかもしれない。
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