彩りを君に

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「無視されたり、クスクス笑われたり、わざとぶつかってきたり。だから、そのラブレターもからかわれただけよ。ムカついたから窓から捨てたのよ」 「それって……」  と言いかけて口を閉じた。でも関口さんは察したようだった。 「別にいじめられてるわけじゃないよ。からかわれてるだけよ」  程度の差こそあれ、それはいじめになるのでは……と思ったが、デリケートなことなので口にはできなかった。  凛とした横顔が彼女の強さを示しているようだった。そのまま彼女は校舎の中に消えていった。  クラスの女子と関わることがなかったから、関口さんがそんな思いをしているなんて全然知らなかった。あえて気にして関口さんを見ていると、伊藤さん、柴田さん、杉浦さんの三人が関口さんとすれ違いざまに何か言っていたり、クスクス笑ったりしているのを見かけた。  自分のクラスでこんないじめっぽいことがされていたなんて……。全然気付かなかった自分も情けない。    この状況を一人で耐えている関口さんに何かしてあげたい。でも、自分に何ができるだろうか。非力な自分を悔いた。
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