彩りを君に

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「竹内くんはさ、そうやって私をかばうことで自分が標的にされるとか、余計私がからかわれるとか思ったことないの?」  と、聞かれたことがある。 「え!  僕が見ていないところで、もしかして何かされてる?」 「いやいやいや、それはないよ、本当に」  それを聞いて安心した。 「僕は大丈夫。何かあっても僕は人に頼るのが得意だから。関口さんは誰にも言えずに我慢してたんでしょ。そういうところにつけ込んでさ。許せないんだ、そういうの」  静かになった関口さん。あれ? と思って覗き込んだ。 「ありがとう。竹内くんのおかげ……」  彼女は潤んだ瞳で精一杯の笑顔を返した。 「わ、ご、ごめんね」  放課後の人気(ひとけ)のない教室は、誰にも気を遣わないからか、素直な感情が溢れ出す。 「竹内くんがいてくれて、本当に良かった」 「あ、いや、そんな……」 「誰も私のことなんて、気にしていないって思ってたから……」  関口さんが辛い思いをしなくなって良かった。僕にできることがあって、本当に良かった。  強くもあり弱くもある彼女の涙はなぜか僕の心にも沁みて、ばれないように天井を見上げた。
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