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関口さんが風邪で休みの日、昼休憩に隣のクラスの福本に呼び止められた。
「竹内、ちょっといい?」
「うん? 何?」
名前くらいは知っている。去年も同じクラスじゃないし、部活も違うし、今まで全然接点がなかった男子だ。
「今日、関口さん休みなんだ?」
「え? ああ、風邪みたいだよ。なんで?」
「いや……。なんでもないんだけど……」
福本は教室内をぐるりと見渡した。
一体、何の用なんだ? うまく言葉が出てこないのか、なかなか言いたいことを言ってくれない。
「あ、あのさ! 率直に聞くけど」
やっと意を決したのか、福本はまっすぐ僕を見た。
「竹内は関口さんと付き合ってんの?」
「へ?」
唐突すぎて、思わず変な声が出た。
「いやいやいや! 付き合ってない、付き合ってない! なんでそうなるかな」
両手を左右に激しく振って否定した。
「最近よく一緒にいるだろ。仲良さそうにいつも話してるから……」
「う……ん、まぁ、そうだな」
どうして一緒にいることが多くなったのかは、関口さんのプライベートに関わることなので、とりあえず濁しておいた。いちいち言うまでもないことかな。でもなんで急に関口さんのこと聞いてくるんだ?
「あ、福本、もしかして関口さんのこと……」
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