彩りを君に

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 そう言いかけたら急に顔を赤くした。観念したようで素直に話してくれた。意外とかわいいヤツだな。 「実はさ、関口さんに手紙書いたんだ。『ずっと好きでした 付き合ってください』って……」 「え! あれ、福本だったの?」 「え! 手紙のことも知ってるの?」 「え、あ、まぁ、いろいろあって……」  とりあえず笑って誤魔化した。 「返事、ずっと待ってるんだけどさ、全然何も言ってもらえないから不安で……」  シュンとした顔がなんだか可哀想にも思える。 「関口さん、福本からの手紙だって気付いてないよ」 「え⁉︎」  表情がコロコロ変わる。落ち込んだかと思えば、急に驚いた顔になった。 「だってあの手紙、名前書いてなかったよ」 「うわぁ……、マジか。緊張して書き忘れたのかな」  今度は頭を抱えてショックを受けていた。まっすぐで一生懸命な感じが伝わってきて、なんだかいいヤツだなと思えてきた。一生懸命な人を見ると、素直に応援したくなる。 「手紙、福本からだって関口さんに言ってあげようか?」 「マジで⁉︎ 竹内ありがとう! 返事聞かせてほしいって関口さんに伝えてほしい」  福本の表情がパッと明るくなった。 「分かった! 任せとき」  嬉しそうな福本を見ると、僕まで嬉しくなる。
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