デートのお誘い。

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「彼氏?」 皆藤くんの言う、彼氏とは誰のことか分からなかった。 だって、私には彼氏という存在の人がいないから。 「ほら、2組でいつも迎えに来るヤツいるじゃん」 「あー、渉のこと?」 渉(わたる)とは幼なじみで、家が近いって理由でよく一緒に帰っている。 もうそれが習慣になっていて、なんの疑問も持たずに一緒に帰っていたけど。 確かによく一緒にいるせいか、渉が彼氏だと勘違いされることは何回かあった。 まさか皆藤くんにまで勘違いされてるなんて。 「渉、放課後用事ができてしばらく一緒に帰ってないんだ。ってか彼氏じゃないし」 そう返事をすると、なぜか変な間が空いた。 不思議に思って皆藤くんの顔を見ると目が合う。 「彼氏じゃないの?」 「違うよ。ただの幼なじみ」 「そーなんだ」 クラスメイトにまで勘違いされてたなんて。 やっぱり他のクラスの男子と一緒に帰るって、そう誤解をされてもおかしくないのかな。 あれ。 日誌を書き終わったのに、なぜか皆藤くんは帰ろうとしない。 不思議に思いながらも、私は帰る準備を続ける。 「ちょっと、お願いがあるんだけど」 教科書をカバンにつめ終える頃、ずっと窓の外を眺めていた皆藤くんが口を開いた。 「なに?日誌のお礼に何でも聞いちゃうよ!」 早く帰れることにテンションが上がっちゃって、勢いで何でも聞いちゃうなんて言ってしまった。 そんな私を見て皆藤くんはくすっと笑った。 「じゃあ─── 今から俺とデートしない?」
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