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「最近のプラネタリウムってこんな感じなんだ!?」
プラネタリウムの建物に入ると、その空間はすごく開けていて開放感たっぷり。
2人がけのベッドみたいなソファーみたいのが、間隔を空けてずらりと並んでいる。
てっきり映画館のようなところだと思ってたからびっくり。
「これならいっぱいイチャつけるね」
「ちょっと…!」
「あ、赤くなっちゃって。何想像したの?」
「何も想像してない!」
伊吹くんがからかってくるから照れくさくて。
私はすぐにシート上にごろんと寝転んだ。
そんな私を見届けて、ゆっくりと横になる伊吹くん。
映画館の時もすごくドキドキしたけど、今日はその距離感の比じゃないくらい近い。
右半分が全部伊吹くんに密着している。
あまりに近すぎて伊吹くんの方を見れないでいると、伊吹くんが体勢を変えて、私のほっぺたをツンツンとした。
「やめて」
「じゃあ、こっち見て」
「やだ」
「じゃあ、やめない」
伊吹くんは私のほっぺたを引っ張ったり、好き放題触ってくる。
やっぱり私の方がドキドキさせられっぱなしじゃない?
どうしても恥ずかしかった私は、ほっぺたを触る伊吹くんの手を握って静止させた。
そのまま伊吹くんの手を握って下に下ろす。
「初めて新奈から手繋いでくれた」
「手を繋いだんじゃなくって、ほっぺた触るの、やめさせただけど」
「素直じゃないんだから」
「だからなんでそうなるの?」
やっぱり伊吹くんは余裕そうで。
私ばっかり踊らされてる。
私の問いになんの反応もしない伊吹くんを見ると、頬を赤くして照れ臭そうにしていた。
そうだった。
伊吹くんって余裕そうに見えてるだけで、実はそうでもないんだ。
そう思うと、愛おしさが込み上げてきた。
「今、あんまり見ないで」
「なんで?こっち見てって言ったの、伊吹くんじゃん」
「そうだけど…」
「もしかして照れてる?」
「照れてない」
「じゃあ伊吹くんもこっち見てよ」
「いいの?理性きかなくなるけど」
そう言いながら伊吹くんは私の上に覆い被さってきた。
伊吹くんの温もりが。
伊吹くんの吐息が。
ダイレクトに伝わってくる。
「…それはよくないね」
「でしょ?もう遅いけどね」
伊吹くんの顔がどんどんと近づいてきて。
キスされると思って目をつぶっても、なかなか触れられない。
ゆっくり目を開けると、伊吹くんはまっすぐに私の目を見ていた。
「っ…!」
「キス待ちの新奈、かわいー」
いつも余裕の伊吹くんを、ちょっと分かったつもりでいたけど。
伊吹くんの方が断然上手だった。
もう変に反撃しないでおこうと心に誓った。
「そろそろ始まるね」
「…うん」
プラネタリウムはすごく綺麗で。
他にもいっぱい人がいるはずなのに、伊吹くんと2人だけの空間のように感じて。
すごく幸せだった。
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