デートのお誘い。

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デートのお誘い。

高校2年生の2学期が始まって早々。 日直当番だった私は、放課後に残って日誌を書いていた。 日誌ってホント面倒くさい。 教科ごとの感想とかいる? こういうの書くの苦手だ…。 もう9月なのに、窓の外ではまだセミが鳴いていて、ほんのりと汗がにじむ。 暑さと闘いながら日誌を書くのに苦戦していた時、ガラガラッと教室の扉が開く音がした。 「あれ、井上さんだ。まだいたんだ?」 入ってきたのはクラスメイトの皆藤くん。 「うん、日直だから。皆藤くんはどうしたの?」 「スマホ忘れちゃって」 そう言って皆藤くんは自分の机の中をガサゴソ探している。 「あった。よかったー!」 皆藤くんは見つけたスマホをポケットに入れた。 その様子を、ただなんとなく見ていると皆藤くんと目が合う。 「日誌まだかかりそう?手伝おうか?」 皆藤くんは何を思ったのか、そんなことを言いだして。 「え、いいよ。悪いよ」 クラスメイトとは言え、あんまり喋ったことのない人にお願いするなんて悪いと思った。 でも皆藤くんは、 「早く帰りたいでしょ?」 そう言って、私の前の席の椅子をガっと引いて座った。 あまり喋ったことがない皆藤くんに話しかけられて、ちょっとびっくりしている。 だって皆藤くんはクラスの人気者。 顔もすごく整っていて、髪型はいつもオシャレだし、制服だってカッコよく着こないしている。 見た目の良さもあり、よく騒いでいるから、かなり目立っていて、女子からも男子からも人気がある。 そんな皆藤くんと私が、今こうして一緒にいることに、なんとなくの違和感を感じる。 「こーゆーのは適当でいいんだよ」 シャープペンを奪われ、スラスラと日誌を書いていく皆藤くん。 適当とか言ったけど、すごくちゃんと書いてるように見える。 「はい、おしまい」 「皆藤くんすごい!あっという間に終わった、本当にありがとう!」 「そんな大したことしてないけど、どういたしまして」 皆藤くんは見た目も完璧なのに、頭も良かったりする。 勉強してるところなんて見たことないのに。 授業中だってずっとふざけてる。 それでも、こうやって何でもできちゃうのは、要領がいいのかなーなんて思う。 皆藤くんのおかげで早く帰れそう。 筆記用具を片付けて帰る準備をしていると、皆藤くんは私にこう言った。 「ねえ、今日は彼氏と一緒に帰らないの?」
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