うざい奴ら

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うざい奴ら

大きな耳をおっ立てて、偉そうに踏ん反り返っているのは、ケルビンだ。勿論いつもの様に、金魚のフンの如く尻尾のデカい奴らを数人従えている。 僕をギラつく眼差しで見つめた後、チラッと隣に立ってるバートを見て少し目を見開いた。ケルビンがそんな顔をするのは珍しい。僕はバートを見上げたけれど、釣られて僕を見下ろしたバートは、いつもと同じ少し気の弱そうな表情をしていた。 「…バート、お前随分育ったな。何食ったらそんな急に大きくなるんだ。やっぱりお前は腐っても虎族なんだな…。ま、いいや。じゃあな、パトリック。今度こそデートしよーぜ。」 そう言ってゲラゲラ笑いながら、ケルビンは訓練所の廊下を我が物顔に歩き去っていった。 僕は眉を顰めながらボヤいた。 「相変わらずいけ好かない奴だ。僕はあんな風に集団でゴロついて威張り腐った男はゾッとするよ。ね、バート?」 バートはケルビンの後ろ姿をじっと見つめていたけれど、僕の話に遅れて相槌を打つと頷いた。 「そうだね。そうは言っても、ケルビンは狼族では血統の良いロウエィ家だからね。やっぱりちょっと怖いかな。」 僕はバートの気の弱さに呆れて眉を持ち上げると、いつもの様にバートの腕を掴んで歩き出した。あれ?こいつ何だか腕まで太くなってるじゃん。僕は何だか悔しくなってそれについて言及するのはやめたんだ。 夏休み明けの訓練所は、ざわざわとしていて落ち着かない。僕は久しぶりという事もあって、仲良し達と馬鹿を言い合った。 「相変わらずお前たちはくっついてるんだな。」 そう言って揶揄ってきたのは、ギャビンだった。こいつも背が伸びてる…。僕は上から下までギャビンを眺めると言った。 「僕、お前嫌い。」 ポカンとしたギャビンは助けを求める様にバートを見た。バートは肩をすくめて言った。 「パトリックは背が大きくなったやつが許せないんだ。俺も嫌われた。」 ギャビンは僕に顔を近づけて言った。 「パトリックは俺たちより年下だし、別に背が大きくなくたって可愛いから良いだろ?しかも希少種だし。…それよりお前ケルビンに狙われてるって聞いたけど、本当か?あいつは群れを作るからな…。やばいだろ?」 僕は眉を顰めてギャビンを見つめた。 「可愛いは余計だよ。それに、別にケルビンは僕を打ち負かそうって絡んでくる訳じゃないよ。うざ絡みしてくるだけで。」 僕の返事を聞いたギャビンはバートを見てから、僕を見つめると言った。 「良いか、絶対一人で行動するなよ。出来るだけバートや俺と一緒に行動すること。分かった?」 ギャビンの剣幕が凄いので、思わず頷いた僕を心配そうに見つめたギャビンは、ため息をついてボヤいた。 「本当、自覚ないって怖いよ。」
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