バートside俺の大事なパトリック

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バートside俺の大事なパトリック

パトリックに初めて会ったのは、兄さんに連れられて遊びに行った先だった。たまに家族で過ごす別邸はヨーデルにあって、そこで兄さんが仲良くなった友達の弟が、パトリックだったんだ。 マジェスタ家はボウの名手を輩出する事で有名な一家で、俺はウキウキしながら兄さんに着いて行ったんだ。でもそこで9歳の俺は、幼いながらに運命と出会ってしまった。 俺はマジェスタ家が希少種だというのは聞いていたけれど、目の前のパトリックは自分とはまるで違って見えた。俺とは違う華奢な身体に、綺麗な見たことのない飾り毛のついた耳。 可愛い顔で僕をじっと見つめる水色の吸い込まれそうな瞳。俺は心臓がドキドキして、モゴモゴと口ごもるばかりで、言葉が出てこなかったんだ。 すると目の前の可愛い子は、僕の手を取ってにっこりと笑って言った。 「僕ね、パトリック。男の子のお友だちは初めてなの。…仲良くしてくれる?」 恥ずかしそうに俺を見上げるパトリックは本当に可愛くて、思わず頭を撫でた。するとトロンとした顔で俺をみつめてくるから、真っ赤になった俺は兄さんには揶揄われて、パトリックの兄上には睨まれて散々だった。 それから俺は何かと別邸に行くことを強請って、両親や兄さんは呆れながらも付き合ってくれた。実際俺の目当てがパトリックだって事くらいは、今思えばバレバレだったんだと思う。 仲良くなってくると、パトリックはその可愛いさの中に酷く勝ち気な性格を秘めていてるのが分かって、俺はそんなパトリックに好かれるために気弱なキャラを演じるのが上手くなっていった。 演じすぎて、自分でも本当にそんな性格かもしれないと思い始めた12歳の頃、パトリックが言った。 「僕はいずれ訓練所に入って、ギルド員として仕事するつもりなんだ。バートはどうするの?お父様みたいに、役人になるの?」 俺は漠然と思っていた、将来の展望が一気に色づいて目の前に開けた気がした。賢くて人より抜きん出るパトリック。でも身体面でも強者ばかりの訓練所やギルドに一人で入らせる? そんな事絶対にダメだ。俺が守ってやらなければ。俺はにっこり笑って答えた。 「奇遇だね?俺も16歳になったら特殊ギルド訓練所に行こうと思ってたんだ。俺の方がひとつ上だから先に行って色々情報をゲットしてくるよ。」 そう言った俺の顔をじっと見つめて、パトリックは呟いた。 「そっか。うん、一緒に頑張ろうね?…バートも訓練所へ行くなら父様たちを説得できるかもしれないね…。あの人たちの過保護にも困るからね…。」 俺には最後の方はよく聞こえなかったけれど、パトリックの美味しいものを食べた時のような嬉しそうな顔に見惚れていたんだ。
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