ご褒美※

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ご褒美※

晩餐会から連れ立って寮に帰り着くと、ギャビンが僕に憐れむような眼差しを向けて、自分の部屋へと退散しながらバートに言った。 「手加減してやれよ?」 僕はギャビンが何を言ってるのか分からなくて、首を傾げてバートを見上げて言った。 「どう言う意味?ギャビンは一体…。」 僕の言葉はそれ以上続かなかった。バートが僕にあの時と同じ眼差しを向けたから。僕は急にドキドキと胸が痛い気持ちになって、思わず顔を背けた。 僕の手を繋いだバートは、親指で僕の手のひらを撫でながら囁いた。 「さっき、良い子にしてたらご褒美くれるって言ったよな?」 僕は晩餐会で確かにそう言った事も、その時にバートの尻尾がぶるんと震えたのも思い出した。僕が恐る恐るバートを見上げると、熱い眼差しを向けてくるから、僕はあっという間にバートのフェロモンに当てられて、身体が震えてきた。 多分今口を開いたら、きっと僕は甘える様な声しか出ないだろう。それは僕の沽券に関わる。でも何故かすれ違う訓練生は僕たちを避けて行く。 「…バート、何かしたの?」 僕がそう言って尋ねると、バートはニヤリと悪い顔をして、僕の腰に手を回して引き寄せて言った。 「ああ、ちょっと威嚇のフェロモンをな。絶対に邪魔されたくないから。」 僕はすっかりバートの強いフェロモンに腰砕けになって、何ならバートの唇をじっと見つめて答えた。 「…じゃま?誰が誰を?…。」 丁度その時、バートの部屋に辿り着いた僕は、バートに引っ張り込まれる様に扉の裏側に貼り付けにされていた。覆い被さってきたバートの唇は熱くて柔らかくて、僕もあまりの気持ち良さにもっともっと欲しくなった。 バートの首に手を伸ばして顔を傾けると、口の中いっぱいにバートの舌が占領して、僕は口の中の柔らかな場所をなぞられてゾクゾクと身体を震わせて呻いた。 グイッと身体が持ち上げられて、ゴリッとしたバートの昂りが僕の抱え上げられた下半身に刺さって、僕はにゃうと呻いてしまった。僕の持ち上がった自身はバートの硬い腹に時々触れて、それももどかしい気持ちよさを連れてきた。 その時廊下を誰かがガヤガヤと通る音が聞こえて、僕はハッとして口を押さえた。 「…うんっ、ばーとっ、ここじゃダメだよ。…にゃあんっ!」 僕の後ろをグッとバートのそれで服の上から押し込まれて、僕はビクンと仰け反った。ああ、この前の気持ち良かったこと思い出しちゃう。僕はバートの髪を掴んで、顔を引き剥がすとバートに言った。 「ご褒美、あっちっで、ベッドであげるからぁ。早く脱がせて…。」 その時、バートの尻尾がやっぱりぶるんと逆毛だったのを目の端で捉えて、バートも僕に翻弄されてるのが分かって嬉しくなったのは内緒だ。
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