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グルテ
駄菓子屋グルテは陰気な女である。
ふつうの女が遅くても二十歳までには嫁ぐ中、二十五になる今でも独り身で、城下町南にある枯井戸の内部を勝手に改造して住んでいる。昔のグルテを知る年寄りによれば、親はいたし家もあった気がするらしいが、彼女が駄菓子屋として知られるようになった頃にはもうそうなっていた。
長い黒髪を三編みにし、着古しの白衣に身を包んだ無口な女が枯井戸を出入りする姿は、特に夜、目撃した者をもれなく失禁させたという。元々人が来ない場所だったが、まともな大人は南の枯井戸には近寄らなくなった。
しかし、グルテは子供たちからは滅法人気であった。駄菓子屋も怪異も、子供の興味を引いてやまない存在だからだ。
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