君が目覚めるまで

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ガラガラガラ 「かすみ、今日は卒業式だったぞ。かすみの分の卒業証書もあるからな。家に持ってっとく。卒業式に一緒に出れなかったのは、残念だったけど、一緒に卒業出来て良かったとも思う。そうだ、校長から目が覚めたら顔見せに来いって宿題出されたぞ。」 俺は、かすみの頭を撫で、 「早く会いたいよ。」 と言って病院を後にした。 もし、今度の春までにかすみが目を覚まさなかったら・・・ また、来年。それでもダメなら、再来年。 俺だけはあの日の約束、ずっと覚えてるから。 俺には、かすみを目覚めさせる技術も頭も持ってない。 信じることしか出来ない。覚えておくことしか出来ない。 だけど、俺は、かすみは絶対に目覚めるって信じ続けるから。 だから、早くあの笑顔を見せて? この時の俺は、まだ知らない。 かすみがどこへ行きたかったのか、1年後に知ることになるなんて。
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