生徒会って......

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生徒会って......

「さっさと仕事をしろ!」 「やってるのに~」 「まーちゃん意地悪~」  何が意地悪だ、まったく。  このままでは今日中に終わりそうにないというのに、この二人は一時間で何回休憩をとれば気が済むんだ。  ただでさえ仕事が多いこの時期なのに休憩なんて一回あれば十分だろ。 「これが終わるまで休憩は無しだ」 「「ひっ__」」  二人の目の前に置いたのは残りの仕事の約3割ほどの書類。机の上に散らかるお菓子の袋の上にドンっと音がするくらい重く重なっている。  一人が一日でする量の三割なのだからまだ優しい方だ。  それに文句を言いたいのはお前らだけじゃない。俺だって休みたいのを我慢して仕事をしてるし、そもそもこの量を六人でしろって言うのが無理なんだよ。  誰だよ、こんなに仕事よこす奴____マジで許せねえ。 「ほらそこ、寝ない!起きてください」 「まーちゃん......ねむぃ」 「____今すぐ仕事を始めないとその枕を捨てますからね。先輩だからといって容赦はしませんよ」  もちろん捨てる場所はゴミ箱ではなく焼却炉。  そう言うと目が覚めたようで仕事にとりかかってくれた。  あの枕は先輩が愛用しているオーダーメイドの枕。  生地から綿まですべてが高級品で、何回か触ったけどあれなら一瞬で夢の中へと行けるだろう。    だからこそ、こんなときには渡してはいけないのだ。  一人だけ夢の中なんて許さない。  今日も平日だというのに授業が終わればこの生徒会室で俺たち生徒会は仕事におわれている。  生徒会は全部で六人いて、仕事中だというのに平気で何回も休憩をとっている二人が二年で庶務の双子の兄、水瀬 晴(ミナセ ハル)と弟の水瀬 明(ミナセ アキ)。  見た目がそっくりでどっちがどっちかは分からないが仕事をしてくれるならどっちでもいい。なんなら別の双子に入れ替わってもいいくらいだ。もしそんなことがあったら変わったことに気づかないふりをする。  そしてマイ枕で仕事中なのに寝ていたのが三年で書記の渡来 庵吏(ワタライ アンリ)先輩。  寝ることが好きでこうして仕事中なのに寝ようとする。だが双子ほど憎めない先輩である。先輩だからではなくなついた犬のようにどこか可愛げがあり癒し系だからだ。  あとは黙々と仕事をしているのが三年で副会長の天沢 斎(アマサワ イツキ)先輩と、同じく生徒会長の津雲 紫音(ツクモ シオン)先輩。  二人は仕事は真面目にしてくれるので安心できる。  最後に俺が二年で会計の右京 真幌(ウキョウ マホロ)。仕事は真面目にするしサボる奴は先輩だろうが許さない。  生徒会にはなりたくてなったわけじゃないことを分かってほしい。  この学校にはどうしようもなくくだらない規則があるのだ。  その規則というのが不規則で全校生徒によって行われるある投票がある。  その名も 『抱きたい・抱かれたいランキング』 だ。  言っておくが、この学校は一之瀬(イチノセ)学園といって全寮制の男子校である。通っているのはほとんどがお金持ちの家の子息。  将来経営者になる人がほとんどだ。  もちろんこのランキングは男が男に投票したものだ。
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