責任って......

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責任って......

(英 蓮 side)  膝の上で眠ってしまった右京君を見た。  寒くないのに体を丸めて縮こまるように眠っている。  純粋な彼を見ていると自分の良くないところばかりが見えてくる。  真っ直ぐな髪を撫でると所々外側に跳ねているのもあってそこがかわいい。    助けてほしいって直接言ってほしくて聞いたのに撫でてほしいと言われるとは思わなかった。  でもずっとこうしているわけにもいかないから右京君をベッドに運ぶ。  周りから僕は見た目が女性みたいだって言われるしそのせいで右京君の次に抱きたいランキングに入っているわけだけど、僕だって身長はあるし力だってある。右京君を抱き上げるくらい容易い。  それから作ってもらったものは全部食べた。  仕事の途中だったパソコンを見ると新歓の企画のページで一通り目を通して大体は終わっていたから少し手を加えて完成させる。  まだ二年生なのに仕事が早いなって感心するのと同時にそのせいで無理をさせていたと思うと胸が苦しくなった。    眠る右京君をおいて風紀委員室に新歓の企画書を持っていく。  今の時間は20時、この時間なら仁もまだいるかな。 「仁~、いる?」 「ああ、どうした?」 「これ持ってきたよ」  企画書を渡した。 「これはお前がやったのか?」 「まさか。右京君に決まってるでしょ」 「よくできてる」 「風紀にもほしいね。こういう後輩」  仁が面白そうな顔をするのは珍しい。  風紀の書類仕事はほとんど三年生がしている。  二年生は後半から任せるようにしている。というのも風紀は見回りがすべてではない。現場に遭遇したら対処できるように鍛えないといけないため一年生の間は自分や相手を守る術を身に着けてもらう。  だから右京君みたいに仕事ができる後輩が欲しいと思っている。  でも右京君の場合は力がないから風紀には入れられないけどね。  風紀委員全体を見てもらったら分かるんだけど、体格がしっかりしている人が多い。僕が入ったときは教師や先輩に猛反対されたけどね。 「右京とは大丈夫なのか?」 「もちろん。ほんとに可愛いんだよ」  これから毎日右京君の部屋に泊まろうかな。それなら着替えとかも持って行かないと。  あとは食べるものも必要だよね。見たところ野菜しかなさそうだったし、早く体調が万全になるには栄養のあるものをたくさん食べないとね。   「当日の配置は俺の方で考えておくから蓮は引き続き右京の仕事だけを手伝っていろ」 「それは勿論なんだけど仁もちゃんと休まないとだめだよ。いつも遅くまでやっているんだから」 「俺は三年だぞ。二年と一緒にするな」  委員長だからか少し頑張りすぎているところがあると思うんだよね。右京くんほどではないけど。六人でする仕事を一人でするなんて無謀にも程がある。 「それじゃああとはよろしく」  それでも仁はうまくやるって分かってるよ。 (英 蓮 side end)
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