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「ここの店です」
お店の壁はほとんどがガラス張りで中がどうなっているのかがよく分かる。
目の前にすごいものを見つけてしまった。
「ここか?」
「右京様が喜ぶかと思いまして!」
「早く入ろう!」
聞いたことはあったけど見るのは初めて。
俺にとっては夢のような場所。
席に案内されて荷物を隣の椅子に置く。
「これは自由にとっていいっていうやつだろ!」
「どれでも好きなものを好きなだけ取ってきてください」
目の前に並ぶ様々な種類のケーキ。
これがケーキバイキングなるものか!
端から順番に一つずつ取っていく。全種類食べれる自信があるぞ。
「上手いな!」
「時間制限があるので気を付けてくださいね」
「そうなのか」
普段から貰うスイーツは高級なものばかりで美味しいけど、これは安いのに美味しい。
これ全部食べても学食の食事数回分にしかならない。
お金持ちしかいない高い食事は当たり前のことだけど安いのも悪くないな。
「クリームがついてますよ」
孝太が紙ナプキンを取って俺の顔に触れようとしたとき体がピクッと動く。
......気付かれたかな。
「すみませんっ」
焦った様子でクリームを拭いてくれた手を引っ込めた。
嫌がっていると勘違いしたのだろうか。
「いや、気にするな」
自分から触れるのはおそらく大丈夫。
ただ相手から触れられるのはどうしても無理で、蓮とかよく会う人以外にはこうなってしまう。
二人の間にしーんとした空気が流れ周りの声が聞こえてきた。
「あの男の子可愛い」
「二人仲良すぎ」
「先輩後輩かな」
「もしかしてデートかな?」
「生BLサイコー!」
伊織みたいなことを言う人がいたからどこかと辺りを見回すと2つ隣のテーブルからだ。
あっ女性だ。
目があってしまったから何か用なのかとコテンと首を傾ける。
「キャー!//」
「絶対年下攻め//」
「意外と可愛い方が攻めかも知れない!」
「それもアリ」
「先輩が可愛いとかもう犯罪」
「分かる」
きっと伊織と同じだ。
どうやら俺は犯罪者らしい。
こういうときは関わらないほうがいいと学んだから食べることに集中した。
「孝太はせっかくのケーキ食べないのか?」
「僕は普通の食事で十分ですので気にせず食べてください!」
ケーキだけじゃないのか。
それを知っても食べるのはケーキだけだけど。
それにしても周りにには女性のお客しかいない。
いつもは周りは男しかいないから少し恥ずかしくもある。
「あと10分くらいですがまだ食べますか?」
「ん~......もういい」
目の前に積まれるお皿を見たら結構な量を食べていたことがわかる。
こんなに入るとは驚きだ。
いつもなら食べてもせいぜい二個くらいだからしばらくはいらないと思うくらい食べた。
明日になったらまた、何かしら食べていると思うけど。
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