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どうして......
(水瀬 明 side)
今日でもう3日になる。
新入生歓迎会の日以来一度も晴と話していない。
あの日なかなか戻ってこない晴を探しに行った。
* * *
「僕ちょっと飲み物買ってくる」
「僕も」
「今日は一人で行くよ。二人もいなくなったら友ちゃんが寂しがるんじゃないかな?」
いつも一緒に行動してたのに一人がいいなんて。
別に拒絶されたわけじゃないし悲しくなんかない。友ちゃんと一緒にいられるのも嬉しい。
友ちゃんは僕たちのことを名前で呼んでくれるし、晴と間違えたりしないんだよ。優しいよね。
「俺は晴とも一緒にいたいぞ。すぐ戻ってこいよな!」
「うん。じゃあ行ってきます」
そのまま今いる会長の部屋から出ていった。
生徒会は個人で部屋があるけど会長の部屋って他よりも広いし部屋も多いから全員で泊まれる。
会長がずっと友ちゃんと部屋にいるし、抜け駆けされたくないから僕もここにずっといる。もちろん斎先輩も、庵吏先輩も。
会長や庵吏先輩は友ちゃんからほとんど離れないからきっと僕と同じように友ちゃんが好きなんだってことが分かるのに、斎先輩はよくわからない。
同じ部屋には居るのに本ばかり読んでる。でも何か一緒にやろうと友ちゃんが誘うとそれに参加していた。いまいち好きなのかそうじゃないのかが分からない。
「明、ここ教えてくれ!」
「どこ?」
今は二人で勉強中。今は6月だし7月になるとテストがあるから。僕は勉強は得意じゃないからやっておかないとと思ったんだけど、どうやら友ちゃんも勉強はできないらしい。
僕たちは同じ学年だから今だけは友ちゃんを独占できるって思ってたんだけどそうはならなかった。
「俺が教えてやるよ」
全部会長が教えちゃうんだよ。
「僕が教えるから会長はいらない」
「明は俺より勉強ができるのか?」
「会長ばっかりずるい!」
会長は三年の学年トップなんだから勝てるわけないじゃん。
でもこっちも全然わからない。いっつもまーちゃんに教えてもらってたのに。
「会長ぉ~、僕の方もおしえて~」
「俺は友也に教えるので忙しいから斎にでも聞け」
「けちぃ~」
斎先輩には聞きにくい。ずっと本を読んで何考えてるかわかんないし......とにかく無理。
早く晴が戻ってこないかなぁ。
そういえば戻ってくるのが遅い。もう20分ほど経とうとしている。
飲物を帰る場所と言ったらここの一階にあるスーパーか建物の外に設置されてある自動販売機くらいだけど、両方とも行って帰ってくるのに10分もかからないはずなのに。
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