遭遇って......

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遭遇って......

 今日の俺はなんて運が悪いんだ......。 「...!真幌っ!」  部屋を出たところで会いたくないやつと鉢合わせてしまった。  チラッと横目に見て通りすぎようとする。 「無視するなよ!」  怒鳴るような大声に体がビクッと跳ねる。  大分慣れたつもりだけどこういうのはまだ苦手。 「...何だよ」 「この前は悪かった!ずっと謝りたいと思ってたんだ」  今さらと言えば今さらだけど、こいつがちゃんと謝ることを知ってたなんてな。俺が勝手に巻き込まれいったようなものだしこいつが謝るのは違う気もするが。 「なあ、その謝罪に何の意味がある?」  全部が全部悪くないわけではないと思う。生徒会が及ぼす周りへの影響力だって少し視点を変えれば分かったはずなんだ。 「謝罪の理由を言ってみろ」 「...俺が捕まったから真幌まであんなことに」 「はぁ......やはりお前の謝罪はいらない」  謝ることを知ってても所詮バカは馬鹿だな。  俺が謝ってほしいのはそこじゃないんだよ。何故捕まるようなことになったのかということを分かってほしいのに。 「俺のことどう思ってる?」 「もちろん好きだ!」 「___誰だ、騒いでるのは」  本当にタイミングが悪い。  何でここで出てくるんだよ。 「紫音!」 「遅いぞ友也」 「まだそんなに経ってないだろ!真幌と話してたんだ」 「へぇ~...」  会長が俺の方を見る。いや、今は名ばかりの会長だな。 「俺だけ見てろよ」 「なんっ!...んぅ...」  会長は転校生にキスをする。  よくできるよな、こんなボサボサな髪で顔が分からないようなのと。  やるなら部屋で誰も見てないところでやってくれ。吐き気がする。  俺から意識が外れているうちにこの場所から退場しよう。 「おい」  呼び止められるとは思わなかった。  だって会長俺のこともう好きじゃないだろ。 「俺は忙しいんだけど」 「相変わらずそんな態度をとるんだな」 「生徒会のことをそっちのけにして転校生と遊んでるようじゃあ、尚更先輩扱いをできるわけないだろ?そんなことも気付かないなんて相当転校生のことしか眼中にないようだな」  転校生の馬鹿が伝染しているようだ。転校生ウイルス?いや、類は友を呼ぶというし会長はもともとこうだったのかもしれない。  俺の中でのイメージがどんどん書き替えられていく。会長の情報アップデート完了。 「まあな、お前と違って素直だしいい奴だ」 「なっ、やめろよ」  ボサボサの頭を撫でた。  いい加減にしてくれ。 「目がおかしくなったんじゃない?」  ......今言ったのは俺じゃないぞ。  聞きなれた声がして後ろを振り向いた。
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