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もし反論が許されるなら、「男性と美少年はまったくの別物、さらには美少年は恋愛対象ではなく観賞用」という持論を提示したい。美少年という存在は、こっそり眺めてたまに話しかけて何かを買い与えて「おねえさんありがとう、だいすき!」とか言われたら至高。それ以上に距離を詰めることはないし、こちらの認知されることさえ必要ない。
ふわふわと甘い砂糖菓子を舐め、現実の灰色など知らぬまま清らかに成長してほしい。美少年よ、永遠なれ。
したがって、他部署の後輩社員である道枝くんは観賞用としては大好物だ。彼はいつだってとびきり可愛い。異議なし。美少年と呼ばれる年齢は過ぎており、スーツに身を包んで月給を貰うサラリーマンを少年と呼ぶには些か不釣り合いな面もある。たしかに、ある。
しかし彼には天使のように綺麗な顔立ちのほかにも美少年と称するに相応しい要素が幾つもあるのだ。お酒に弱い、かわいい、清潔ないい匂いがする、スーツにリュックを背負っている、かわいい、人懐っこい、ずるい、あざとい、かわいい。ほらね、素質は十分でしょう。
道枝くんは他の男性社員たちとは別物。職場の後輩としては好きでも嫌いでもないけれど、弊社のアイドルとしては正直だいぶ好きのカテゴリーに分類される。ときめきパラメーターもぎゅんぎゅんだ。社会人として真っ当に生きていれば本物の美少年に触れ合う機会など皆無なわけで、そうなるとやはり二十五歳にして現役の美少年である道枝くんは我が社において重要な人材で間違いない。ありがとう人事部。ありがとう美少年。
ただし彼はあくまで観賞用である。ほら、よく言うでしょう。美少年とふるさとは、遠きにありて思ふもの。
『お疲れ様です、道枝です。小林さんにはいつも大変お世話になっているので、今週も、一杯ご馳走させてください!』
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