白よりのグレー

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 人生は闘いだ。  学校、恋愛、就職、結婚とライフイベントそのものが闘いである。どんな友人と連れるのか、どんな異性を恋人にするのか。それがステータスであり自分の価値を高めるものだ。  学生時代はそこに偏差値という名の出身大学もブランドになる。就職すればその企業名の価値がイコール己だった。世間でも有名な会社に入社できた自分が素晴らしい、と。そしてそのどれも自分はうまくやってきた。  幼稚園ではガキ大将を泣かせ女王様の地位に君臨した。小学生の頃は三つ上の兄を味方にしたこともあり低学年のうちにカースト層のトップに上り詰めた。食物連鎖でいうピラミッドの頂上で上から下を見下ろすポジションだった。  それは父親譲りの学力と運動神経のおかげもある。クラスでは人気者だ。それほど努力せずとも中高一貫のそれなりの学校へ入学もできた。また、母親譲りの顔面偏差値のおかげで中学生に入ってそこそこモテた。  類は友を呼ぶというけれど、千佳子の周りにいる友人たちも同じような人間だった。可愛く美人。だが性格はさっぱりして付き合いやすい。  高校生にもなれば学校内ではちょっとした有名人のような存在にまでなった。告白されたことも両手を折り返すぐらいある。  初めての彼氏もハジメテの経験も高校生で済ませた。年上で程よく顔が整っており、校内で人気の先輩だった。  大学は推薦で決めた。周囲が必死に受験勉強をしている中、バイトに明け暮れお金をがっぽり貯めた。女四人での卒業旅行は人生で一二を争うぐらい笑いっぱなしの旅行だった。  大学は要領よく授業を取り、あまり活動のないサークルに入り、バイトに明け暮れ海外旅行やホームステイなどに費やした。  就職活動も周囲に比べると割とスムーズにいった方だ。いくつか内定をもらい、選べる立場だった。入社後仕事に邁進しながら恋人と呼べる付き合いをした男もいた。  上手くいっていると思ってた。  でも気づいたら時には「負け」戦が始まっていた。つまるところいったいいつからだろう。  人生が躓き始めたのは。        
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