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千佳子の中から指が引き抜かれた。もう少しでイケそうだったのに、と小さな不満が募る。佐野を見れば避妊具を着けるようだった。千佳子は身体を起こす。
「着けてあげようか」
「い、え?」
「いや?」
佐野は「嫌じゃない」と首を横に振る。千佳子は微笑みながら佐野の手から避妊具を取り去ると破れた袋からそれを取り出した。
「…っ!」
取り出して着ける前に佐野の唇を奪う。佐野が驚いて目を見開いていることに笑いかけながら手を動かした。勃ち上がったそれに千佳子の指が触れる。佐野がぐっと喉の奥で何かに堪えるように表情を険しくした。
「キスに集中して」
千佳子が佐野の耳元で囁く。佐野は言われるがままに差し出された舌にむしゃぶりついた。千佳子の手は慣れたように佐野の丸い頭から帽子を被せていく。根本まですっぽりと被せたのを確認して、千佳子は佐野を押し倒した。
「あ、待っ、ぐ…、あぁ、」
本当は佐野が押し倒したかったのだろう。なんとなくそれを佐野の視線と手の動きで感じていた千佳子は先手必勝とばかりに動きを封じた。再び佐野にまたがると自らそれを咥え込ませる。佐野はそれを止めようとしたものの、千佳子が根元まで飲み込む方が早かった。
「…っ、あ、…っふっ」
佐野が喘ぐ。男の人の喘ぎ声ってどうしてこんなに可愛いのだろう。
千佳子は腰をゆっくりと揺らしながら佐野が何かに抗おうとしている様子を見下ろしていた。そんな姿をもっと楽しみたいとも思う。
「…っ、ぁ、はっ、…っんふっ」
鎖骨から胸、腹と指を滑らせれば肩を跳ねさせて腰を引く佐野。
だけど千佳子がすりすりと腰を動かすものだから佐野の息は荒くなるばかりだ。
「ち、か、こさん…っ、ずるいっ」
「ずるくないわよ?」
「俺だって、っ…、はぅっ、」
千佳子は随分と楽しんでいた。佐野がしたいことを邪魔して防いでみる。
本当はすぐにでも腰を揺らしてイキたいのだろうが、千佳子はそれをさせない。
…楽しい。
千佳子は佐野をいじめる快感に喜んでいた。だけどその一方どこかこの後のパターンを理解しすぎているため、なんとなく興奮した気分が持続しない。
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