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P82 一部修正しました。
→無視した×
無視された○
勢いで書いたまま失礼しました。
引き続き最後までお楽しみください。
いつもありがとうございます。
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「知らなかったら知ればいいじゃない!!どうして知ろうともせずに逃げるのよ!!弱虫意気地なし臆病者!!ただ怖いだけじゃない!!」
午後八時半過ぎの飲食店街は人でごった返している。しかし千佳子の声がよく通る。必然的に注目の的になった。周囲の人は千佳子の声に何事だと足を止める。
男女の痴話喧嘩を面白そうに眺める好奇的な視線にさらされながらも千佳子はここで止まることなどできなかった。
「お前なあ!」
「図星でしょう!?何が『自分のテリトリーに毎日人がいるのが嫌』よ!したこともないのに決めつけないでよ!!大体、あんたでしょうが、先に私を連れ込んだの!!!」
「同意だったろうが!!」
「ホテルがわりに連れ込んでよく同意っていうわね?!もう一回小学生からやり直したらどうなの!?」
遠回しに頭が悪いと言われた槇はカッと怒りを表した。千佳子は槇に間髪入れさせないように言葉を続ける。
「だいたい人の気持ちが変わって何が悪いのよ!変わらないわけないじゃない!!ちょっとぐらい考えなさいよ!!何年社会人してんのよ!なんでもリスクを考えて行動するでしょうが!だいたいねぇ、先に内側に入れた挙句気持ちが変わったからハイサヨナラって随分と人をコケにしてるじゃない!今すぐここでぶら下がってるソレ、踏み潰して不能にしてやろうか?ぁあ”?!」
千佳子は槇の開いた脚の間にダンっと足を踏み鳴らした。
7センチのヒールが思い切り削れたかもしれないが後ですべて請求してやるつもりだ。
「ねえ、そこのあなた。逃げるなら今よ。こいつ、本当にクズすぎるから。この間も前に関係持った女に迫られて一人で追い返せなくて私に泣きついてきたのよ」
千佳子はどうすればいいか分からず突っ立っていたその女に勧告した。
まさか、この私の前で堂々と連れていくなんてしないわよね?という圧力をかけることも忘れない。
「その時にこの男のせいで女に焼酎のお茶割りをぶっかけられたの。全身真緑よ。氷が入ってて痛いし冷たいし臭いし。それなのにクリーニング代だけ払ってハイサヨナラってしようとしたのよ。自分に都合のいいことばかりで全くこっちのことを考えない最低のクズなの。別にあなたがそれでもいいならいいけど、被害者である私がいうわ。あなた、可愛いし若いんだからもっとマシな人選びなさい」
自分のことを棚に上げて千佳子は堂々と言い切った。
その女性は千佳子と槇を見て「あ、あの失礼しますっ」と踵を返したのだった。
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