ホストとケーキ

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ホストとケーキ

「僕と交際して、不良少女にならないか?」 「………」 ニッコリ微笑み、どこかの魔法少女の勧誘に似た台詞を吐いたのは 愛島涼太。樹々兄と同じ三年生。 やや長めの金髪の髪をかきあげると、耳には沢山のピアスが輝いている。 柔らかい微笑みと、整った容姿で、女性には優しく接するときたもんだから、そりゃーもうアイドル並みに、圧倒的人気を博している。 だがしかし。 計算である。全て計算なのである。 コイツはそれを武器になると知っていて態と演じているのだ。 ナンバーワンホストと言っても過言ではない。 「ときめきワードが一文字も無いので、お断りさせていただきます」 「チッ、釣れねーなぁ、まぁ、あの兄弟の傍で育って来たから耐性はついてるか」 「早速ホストの皮を外すのやめてもらえませんか? それと、耐性があるのではなく、樹々兄意外アウトオブ眼中だからです。」 私はチッチッチッと指を揺らしながらそう告げた。 「今日は兄弟と一緒じゃねーのか?」 「羅々は知りませんが、樹々兄は、憎きゴーヤマンとデートらしいです。マジ許さん!」 「豪屋?とうとう姫塚のアプローチに負けて、受け入れたのか」 その言葉に、ピクリと私の頬が揺れる。 「愛島さん、ちょっと邪魔なゴーヤマンと、ボーイズラブ的展開でくっ付いてくれません?」 「悪ィが、そっちは専門外だわ てかお前、目的の為には手段選ばねーな?とんだ巻き込み事故に遭うわ」 「チッ。使えない男ですね」 「自分本位にも程がある!」 だって、樹々兄があんなに嬉しそうにしてるんだ、嫉妬以外の何者でもないよね。 悶々としていたら、愛島さんが頭に手をポスンと置いた。 「で?どこだ?」 「え?何が?」 「その、デートの場所。暇だから邪魔しに行くか?」 ニッと笑う愛島さん。 あらら、とても邪悪なお顔をしていますね。 それに釣られて、私もニッと笑い返した。 「主も悪よのう……。」 そう呟いて、予めリサーチしておいた 樹々兄の行き場所を告げた。
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