ホストとケーキ

2/5

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
若い女の子達が目を輝かせて、目の前に並ぶケーキを楽しげに選んでいる。 ココはスイーツパラダイス、ケーキの食べ放題のお店だ。 そしてそのお店の端で、異色を放っているテーブルがある。 そのテーブルには、Vシネマ男優のように、厳つい面構えの豪屋と キラキラの美貌を惜しげもなく振り撒いている樹々兄。 そして、その二人の真ん中に小学生の女の子が、ちょこんと可愛らしく座っていた。 「え?隠し子?樹々兄……いつ産んだの?」 「動揺するのは分かるが落ち着け。  隠し子にしては計算が合わない、そもそも姫塚は男だ。」 見つからないように、反対側のテーブルから ハイエナのように樹々兄を狙う私達 「狙ってねーよ!」 愛島さんのそんな声が聞こえるが、無視だ無視。 私は嫁の浮気現場を調査するかのように、こっそり写真を撮りまくった。 「証拠写真を見せれば、慰謝料ぶんどれますかね?」 「そもそも、お前と姫塚は付き合ってすらいねーだろ。  逆にストーカー罪で訴えられんぞ?」 愛島さんの言葉に、心がスンと一気に落ち着いた。 「アレは豪屋の妹だろう……。 1人で来るにはハードルが高いから、姫塚に頼んだんだろうなぁ」 愛島さんが樹々兄達のテーブルを見つめながら呟く。 「ハードル?」 「あの面で、小学生と二人で歩いてみろ」 「見事な誘拐犯か、ロリコン犯罪者の出来上がりですね。」 想像してみたが、中々に酷い絵面だ。ウム。 「職質のオンパレードだろうなぁ」 「いっそ兄妹Tシャツとか、名札付けるとか?」 「ますます怪しいだろ。まぁ……それに  そもそも、あの兄妹は半分しか血が繋がってないからな」 「と……いうと?」 「異母兄妹だ。豪屋の父の再婚相手との間の子だわ。」 「なるほど……ゴーヤマンも苦労してるんだ」 そんな言葉を呟きながら そっと視線を樹々兄達のテーブルに向ける。 樹々兄が楽しげに女の子と、ケーキの食べさせ合いっこをしていた。 微笑ましい。ちょっとそこ変われ! まるで親子のように、違和感の無さに若干の寂しさを感じ 視線を自分のテーブルに戻す 「あれ?」 いつの間にか、色取り取りのケーキが目の前に並べられていて 私は思わず愛島さんの顔を見つめた。 「伊達にホストとかあだ名で言われてねーよ。ホラ、俺達も食おうぜ?」 「キザ」 でもその心使いが、今は何だか嬉しくて 私は愛島さんと沢山のケーキをシェアし合いながら お腹一杯になるまで食べ尽くした。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加