幼馴染は双子

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幼馴染は双子

私には幼馴染がいる 私より二つ年上の、お隣に住む双子の兄弟がそうだ。 小さい頃から小柄で、どん臭かった私を いつも優しく守ってくれたのは、双子の兄の方だ。 そんな王子様のような彼に いつしか芽生えた恋心は 今も片思いのまま現在進行形である……。 だけど諦めるつもりなど毛頭無い 何故なら? そう、何故ならこれは運命!デスティニーなのだ! え?弟の方は……ですか? 悪魔のような男なので、語りたくありません。 うっかり話題を出して、悪魔を召還したらどうするんです? 封印です封印!悪霊退散! だけど……この恋は 思いもよらない壁にぶち当たった。 あまりの衝撃に、心が複雑骨折だ。 何故なら…… 「あら?胡桃来てたの? 丁度良かったわ、美味しいケーキ買ってきたわよ。一緒に食べる?」 「食べる食べる!ありがとう、樹々兄」 何故なら…… 素敵な王子様は いつの間にか、美しいオネェ様へと変貌を遂げていた。 私の初恋の人の名前は、姫塚樹々。高校三年生。 スラリと長い手脚、肩まで伸びた髪は緩やかなウエーブがかかっている。 目を細め、ニコリと微笑む整った顔。 唇にはピンク色のグロスが綺麗に輝いている。 綺麗なオネェさん 例えるなら、正しくそれである。 何で?どこでどうしてこうなったの? え?恋愛対象が男? 恋敵が男になるなんて、夢にも思わなかった。 心の中で、お姫様姿の私がローリングしながら転げまわる きっと……これは悪い悪魔の呪い……(だと思いたい) いつか姫のキスで、王子様を呪いから解放させるのよ!(と信じたい) 「胡桃?さっきから百面相してるけど、大丈夫?情緒不安定なの?」 「あ……心の中で沢山の私と脳内会議してました。」 「……相変わらずトリッキーね、あなた……ふふっ」 そう言って笑う顔はとても美しい 真顔で写真を連写していたら、携帯をヒョイと背後から奪われた。 「あー!」 慌てて手を伸ばし振り向けば 悪魔が来たりて露出する。 そこにはタオル片手に携帯画面を見つめる 双子の弟の姫塚羅々が全裸で立っていた。 「前を隠せ!この露出狂!」 「ああ?誰に言ってんだテメェ?ってか今更だろうが」 私の頬を引っ張りながら、全裸で凄むこの男は悪魔だ。 羅々の名前は裸族の裸々でいいと思う。 樹々兄と同じパーツを持つ双子の弟は、 成長と共に、歩く露出狂へと変貌を遂げていた。 「んだぁ?相変わらず樹々だらけだな?お前の携帯」 「私の宝物庫です」 「俺も同じパーツなんだがな」 「私には、紛い物にしか見えません」 「テメェ……よーし、俺の全裸画像をお前の携帯の待ち受けにしてやる」 「うわぁ!やめてー!携帯が爆死するー!」 携帯を奪い返そうと手を伸ばすが、百八十センチ近い長身のため、全く届かない。 そんな私を見兼ねて、樹々兄が「兄貴の鉄拳!」と呟き拳骨を一つ落とした。 「……ってー」 「もー……胡桃を苛めるんじゃないわよ。  みっとも無い格好してないで、さっさとお風呂に入ってきなさい」 「チッ。おい、胡桃、風呂に入るぞ。背中流せ」 「え?」 「ハイハイ。ケーキはちゃんと置いておくから、行ってらっしゃい」 「そんな……樹々兄のばかー!」 私は悪魔に首根っこを掴まれ、浴室へ強制連行される。 だいたい、これが私達の日常パターンだ 王子様を目覚めさせるため 私は負けない 露出狂の悪魔にも……負けない
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