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そんな何かを覚悟した律夫の態度に真由美は、
「りっ……ちゃん」
と、逃げるのをためらった。
その隙を逃さず、律夫はポケットの中から小さな箱を取り出した。
「その代わり、これを受け取ってくれ」
律夫は取り出した小箱を真由美に向けて差し出し、そのフタを開けた。
箱の中には、まばゆく光るダイヤの指輪があった。
「なに、このダイヤの指輪!ま、まさか!」
「結婚しよう」
「えっ!」
「俺は真由美を愛している! ずっと一緒にいたい!」
律夫は力強い眼差しで真由美を見つめた。
真由美はその眼差しに吸い込まれるように律夫を見つめ返した。
「りっちゃん……」
「この気持ちは本当だ。俺を信じてくれ」
見つめあう二人。
そして沈黙。
波は休むことなく寄せては返すを繰り返していたが、二人の時間は止まっているようだった。
やがて真由美が口を開いた。
「うん。わかった」
「じゃあ!」
「私、りっちゃんを信じる」
真由美は微笑んだ。
律夫は嬉しそうに真由美の手を取った。
「真由美!」
「りっちゃん!」
「真由美とりっちゃん!」
「……ん?」
「……え?」
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