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律夫と真由美は固まった。
二人だけしかいない夜の砂浜に、二人以外の声が聞こえたからだ。
「あれ?」
「今、誰かの声、聞こえたよね?」
「りっちゃんも?」
二人は恐怖に身を寄せ合った。
「こんな夜の浜辺で、周りには誰もいないし……」
「私なら、さっきからココにいるわよ」
律夫と真由美は飛び上がった。
「うわっ!」
「ウソ! どこどこ!」
二人は声の主を探してキョロキョロとあたりを見廻した。
広大な砂浜だったが、月明かりのため視界は良好だった。
しかし、しばらく見廻してみても辺りに人影は見えなかった。
「ココですわ」
声を聞き、律夫はハッとした。
「足元!」
律夫の言葉につられて、真由美も足元を見た。
「え、砂浜の砂の中!」
声の主は落ち着きなさいと言うように穏やかに言った。
「アハハ! そんなところにいないわよ」
真由美はパニックになった。
「えー、なになになに!?」
「お、お、落ち着いて、真由美。落ち着こう」
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