或るものたちの運命(さだめ)

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天の穴がひらき それらは落ちてきた 善にも悪にもなりうるもの 頑強な体で 柔らかな体で 硬い(よろい)をまとって 薄い(ころも)をまとって 大地は全てを無に()す水で このものたちを押し包む それでもかたちをとどめたもの 跡形(あとかた)もなくなったもの 大地に新たにひらいた闇が それら全てを呑み込んでゆく 気の遠くなるほど果てしない闇 地中に(たぎ)る静かなマグマは ゆっくりと長く時間をかけて そのものたちを我が身に取り込んでゆく 善であろうと 悪であろうと あとに残るは 夢の欠片(かけら)、想いの残滓(ざんし) それらはひたすら光を待つ この永劫(えいごう)と思える闇の中で 突如、闇が震える 激しい地鳴りがあたりに(とどろ)く さあ、(とき)は満ちた 固く閉ざされた門が、今こそひらかれる いざ、光の中へ————
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